マンガ喫茶漫遊堂店長の日記

京都市内(西院・高野)で営業するマンガ喫茶漫遊堂店長のブログです。

最終兵器彼女


 人はカタストロフィー(破滅・破壊)を禁忌としながらも、どこかでカタスロフィーをどこかで望むものです。

 嵐の夜にわくわくするような、雷に心うごくような感情は、その一つではないでしょうか。

 外部から与えられる戦争や災厄にみまわれ、それに抗うようなヒロイズムをストーリーに組み込んだ作品は多いです。

 この作品も戦争下に天変地異と特殊条件下です、しかしその中心にいるのは「ちせ」。

 内面的なカタストロフィーと真摯に向き合った作品は私の知る限り一つです。


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 ひょんなことから付き合うこととなり、曖昧な距離感のまま交際を初めた主人公「シュウジ」と同級生の「ちせ」。

 空襲を迎撃した発射場所にいる「ちせ」を目撃し、「シュウジ」は彼女が兵器である事を知ったところで物語が始まります。

 全体を通して、物語は様々に視点移行しながら多くの問いを投げかけてきます。


 何が幸せなのか、不幸なのか。生きているとはなにか、死んでしまうとは何か。

 穏やかな日常にひそむ非日常、兵器となっていく「ちせ」。

 多くの対立は薄氷一枚で隔たり、一方で密接に繋がっていて、ひとは一方に目を瞑り、時に立ち向かっていきます。

 仮初めの共同生活を永遠と信じたり、ヒトでなくなった「ちせ」をヒトと信じる「シュウジ」。

 多くの対立と違和のある「ズレ」、象徴的なシーンを紡ぎながらカタストロフィーのその先にある再生へと物語が進みます。

 内面世界が吐露される様や、交換日記に記される彼女本音が独特のコマと表現により完成され、読みごたえのある作品です。



 『最終兵器彼女』


 全七巻、この機会に是非ご一読下さい。

 以上、漫遊堂高野店スタッフでした。
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