マンガ喫茶漫遊堂店長の日記

京都市内(西院・高野)で営業するマンガ喫茶漫遊堂店長のブログです。

不安の種

昔、こんなことがありました。

それはある夏の日のことです。僕がいつもどおり学校を終えて帰宅すると、家族どうやら買い物にでも出かけているようで、「ただいまー」と大きく声を上げても、なんの返事もありませんでした。どこからともなく聞こえてくるひぐらしの声と、風のない蒸し暑い空気が、なぜだか変に気持ち悪く感じて、僕はそうそうに自分の部屋に入ったのです。その時、なにやら気配を感じました。正確には、気配というようなあやふやなものを認識したわけではなく、確かにそのとき、奇妙な音を聞いたのです。うめくような、とても小さく低い、それはどうやら声のようでした。どこかに誰かいるのか、そう考えているうちにも、また声は響いてきます。真上からでした。天井板の向こうから、今度は呟くように、その声は聞こえました。

でもそれはおかしいのです。僕の家に二階なんて、なかったのですから。

あわてて部屋を飛び出した僕は、日が暮れきってしまうまでずっと、玄関の外に息をひそめていました。家族が帰ってきて訳を話したのですが、確認をしてくれた父にも、やはりその声は聞こえたのです。そこで天井裏を調べてみましたが、そこにはとくになにもありませんでした。それなのに、天井の声はやはり聞こえてくるのです。その年の冬まで、その声は続きました。風のうなりなんかでは、けしてありませんでしたが、ではなんなのかというと、これは今に至るまでさっぱりわからないのです。

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そういうわけで今日お勧めするのは「不安の種」です。この漫画はホラーですが、そこらの恐怖漫画とは一線を画す怖さと意味不明さがありまして、一部ではとても人気があるようです。一話ほんの数ページというシンプルな話がいくつも収録されているのですが、そのシンプルさゆえか、ホラー映画の気味の悪い部分だけを切り取って見せているかのような後味の悪さが残ります(たとえるなら映画「女優霊」のバスに顔が映ってるシーン、みたいな。ないしは「ほの暗い水の底から」の屋上のシーン、みたいな)。

まじめに怖いので、このいやみなしめっぽい暑さをスッと冷やしてくれることは請け合いです。

以上、漫遊堂高野店スタッフでした。
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